「弁護士費用敗訴者負担制度の導入の是非に関する緊急アンケート」

医療事故情報センターまとめ

調査方法


 医療事故に関心を持つ人によって構成される下記市民団体の会員(法律家、医療関係者など専門家として参加している会員を除く)にアンケート用紙を郵送し、匿名で郵送又はFAX返信する方式で回収した。発送数、回収数は下記の通り。


なお、下記市民団体に重複して加入している人は、関与が最も深い団体から発送された用紙1通に対してのみ回答するよう要請し、重複を回避した。

発送数 1128件
回収数 528件
回収率 52%

ご協力いただいた市民団体(50音順)

● 医療過誤原告の会
   TEL 026-292-6956(全国事務局)
   http://www.cypress.ne.jp/takaoka/genkoku/main.htm
● 医療事故市民オンブズマンメディオ
   TEL 03-5358-2255(事務局)
   http://www.hypertown.ne.jp/medio/
● 出産事故メーリングリスト
   TEL 0863-32-2310(出元方)
   http://rumina.cside4.com/osan_jiko_ml.html
 陣痛促進剤による被害を考える会
   TEL 0863-32-2310(出元方)
   http://homepage1.nifty.com/hkr/higai/index.htm

問1 医療事故又は医療過誤に関してどのような経験を持っていますか 

1 実際に訴訟を提起したことがある 227 40%
2 上記の経験はないが、実際に調停や示談交渉を実施したことがある 33 6%
3 上記の経験はないが、カルテの証拠保全を経験したことがある 95 16%
4 上記の経験はないが、弁護士に相談したことがある 81 14%
5 上記の経験はないが、弁護士以外の相談窓口に相談したことがある 30 5%
6 上記の経験はないが、自分や親族について医療過誤にあったのではないかという体験をしたことがある 51 9%
7 上記の経験はないが、その他に医療過誤に関する経験をしたことがある 14 2%
8 特に経験したことはない 49 8%
0 無回答 2 0%
合計 582

問2 仮に、現行の制度が、「原告が勝訴すると被告に弁護士費用の全部又は一部を負担させることができるが、原告が敗訴すると被告の弁護士費用の全部又は一部を原告が負担することになる」という制度に変更された場合、医療過誤訴訟を提起する際の判断にどのような影響が生じると思いますか? 

1 非常に提訴をしやすくなると思う 10 2%
2 多少提訴をしやすくなると思う 28 5%
3 現状とあまり変わらないと思う 44 8%
4 多少提訴をしにくくなると思う 112 19%
5 非常に提訴をしにくくなると思う 369 63%
6 その他 13 2%
0 無回答 6 1%
合計 582

問1で 「実際に訴訟を提起したことがある」 と回答した人による自由記載欄の抜粋

私の場合は突然の医療事故で夫を亡くし、今までの収入もなくなりましたが、何とか都合して現在提訴していますが、新制度が導入されると経済的に泣き寝入りするしかないと思います。原告は病院と違って一個人ですから、経済的に提訴出来ない人が多くなると思います。
私は公立病院で息子が事故に遭い係争中の者です。現行の制度でさえ悩み迷った末の決断でした。とても大きな覚悟が必要でした。新しい制度では泣き寝入りするしかない被害者が増えるのは必然です。裁判が誰のためにあるものなのか?医療界の浄化は被害者が声を上げることで初めて行われるのが現状です。このような制度は反対です。
提訴するにあたって私共は弁護士費用という大きな壁が一番の悩みでした。現在も裁判が長引き8年目に入ろうとしています。裕福な家庭ではないので、費用については頭を抱えるばかりです。でも費用がないと言ってこのまま引き下がるわけにはいきません。もしもこの制度が導入されると、私の今の強い意志も少しかたむいてしまうかもしれません。とても不安です。導入されてほしくありません。
今の日本の医療裁判では、いくら原告側が頑張っても敗訴するケースが多いと思う。どう考えても「勝てるはず」のケースも最後判決がどうなるかわからないという不安が常にある中で、今後弁護士費用に関して敗訴側負担という事になれば、民事訴訟の中でも難しい医療裁判がますます難しく提訴しにくくなることは必至のような気がします。
医療過誤訴訟はコピー代や資料集め、また鑑定医をお願いするなど費用がかかります。その上相手医師側、病院側の分も負担となりますと、泣き寝入りが多くなるのでは・・・と不安です。
医療過誤裁判の原告はすでにいくつものハンディを負っています。それは①裁判の専門性が高く②原告の立証責任が重く③勝訴率が低い上に④裁判が長期化することです。その中で敗訴した場合に被告側の弁護士費用まで負担しなければならなくなれば、更なる経済的なリスクにつながり医療過誤被害者の救済を求める道を閉ざされることになると思います。
全ての訴訟に於て、被告が100%悪いケースだけとは思いませんが、医療事故に関しては最初から(提訴前から)原告は弱者の立場です(現状の日本に於て)。ですから新制度の導入にあたっては提訴しにくくならないような、原則に基づく例外をきちんと整備しておくのが不可欠と思います。