事故報告制度の検討が最終段階に 

弁護士堀康司(常任理事)(2003年4月センターニュース181号情報センター日誌より)

急転直下、義務的報告制度の導入へ

  以前本欄(175号)でお伝えした厚労省検討部会における医療事故事例情報の取扱いに関する検討がいよいよ最終段階を迎えています。

  事故報告の義務化について当初部会内では消極論が支配的でしたが、本年2月21日には超党派国会議員による勉強会が開かれ、医療問題弁護団(東京)が意見書を発表して記者会見を行い、これらの動きを受けて坂口厚労相が報告義務化に前向きな発言(2月25日)をするに至った結果、3月11日の検討部会で示された報告書原案には、特に重大な事例について報告を義務化する方針が盛り込まれました。また、医療機関からのルートだけではなく、ユーザーである患者さんの側からも幅広く情報を受け付けるという方針がほぼ確定的となっています。

義務化の範囲と第三者機関の具体像

  最終の部会が開催される4月15日には報告書の内容が固まる見通しです。今後は、義務化の範囲や情報を集約する第三者機関の具体的中身が焦点となると思われます。

  第三者機関の具体像は明らかではありませんが、集めた情報を迅速かつ適切に分析検討することができるだけの十分な人的・物的資源が不可欠です。特に医療分野では事故から対策を学ぶというノウハウが十分に積み上げられてこなかった歴史がありますので、安全対策で先行する他の産業分野の専門家を大胆に登用することが強く望まれます。