厚労省と最高裁に2つの意見書を提出

弁護士堀康司(常任理事)(2003年5月センターニュース182号情報センター日誌より)

第三者機関の充実を求めて

  医療事故情報センターは、4月1日、医療に係る事故事例情報の取扱いに関する検討部会(厚労省)に対し、意見書を提出しました。

  意見書の内容は、国が第三者機関を設置して幅広く事故事例情報を収集分析することに賛意を表明しつつ、(1)義務的報告の主体をより幅広くすること、(2)義務的報告の範囲は医療機関の主観で左右されない定義とすべきこと、(3)第三者機関に一定の範囲で調査権限をも付与すべきこと、(4)第三者機関の分析体制を充実させて分析結果の迅速なフィードバックを実現すること、(5)第三者機関のために十分な予算措置をとるとともに天下りを厳格に禁ずること、等を提言するものとなっています。

  なお4月15日に開催された同検討部会では報告書の最終案がとりまとめられ、平成16年度からまず国立高度専門医療センター、国立病院、国立療養所、大学病院(本院)に重大事故の報告を義務付けるという方針が打ち出されました。今後は、報告先となる第三者機関の設置と報告すべき重大事例の範囲確定のための作業がそれぞれ開始されることになります。

鑑定人推薦制度の透明化を

  また、医療事故情報センターは、4月15日、医療問題弁護団(代表:鈴木利廣弁護士)と医療過誤問題研究会(代表:増田聖子弁護士)と連名で、医事関係訴訟委員会(最高裁)に対して意見書を提出しました。

  意見書の骨子は、(1)鑑定書の公表の実現、(2)推薦依頼先の学会内における推薦手続の透明化と学会内鑑定事後評価制度の確立促進、(3)同委員会による司法的見地に基づく鑑定書評価の実施、の3点を要請するものとなっています。

  なお、4月17日に開催された第9回医事関係訴訟委員会では、本年6月を目途として発足後2年を経過した同委員会の活動に関する報告書をまとめる方針が確認された模様です。また一部の学会では、学会自身による鑑定書の公表を検討する動きがあるようです。

  今後は、次第に明らかにされつつある鑑定関連情報を、患者の側でどのように収集・分析するのかが問われることになりそうです。