次々と新たな動き~総務省改善勧告、青戸病院事件行政処分

弁護士堀康司(常任理事)(2004年4月センターニュース193号情報センター日誌より)

総務省が厚労省・文科省に厳しく勧告

  3月12日、総務省は厚労省と文科省に対し、医療事故に関する行政評価・監視結果に基づく勧告を行いました。これは全国217医療機関の医療事故防止対策の実施状況を調査した結果に基づいて、1)院内で事故報告を求める範囲の明示、2)重大事故の報告を全病院と有床診療所に義務づけ、3)類似名称に由来する薬剤事故等への個別改善要請の実施、4)医学部における安全教育の推進、5)立入検査による指導の充実、6)規模等の類似する医療機関による相互チェックの実施推進などを勧告したものです。

  この4月から特定機能病院等には、重大事故の報告が義務づけられました。医療事故情報センターでは、この報告制度を全医療機関に拡大すべきとの意見書を提出していますが、早くも総務省からも、一部医療機関のみに報告を義務づけるだけでは不十分であると厳しく指摘されたことになります。

青戸病院事件に行政処分

  3月18日、医道審議会の答申に基づき、厚労省は慈恵大青戸病院事件の医師3名と埼玉医大事件の医師1名に、それぞれ医業停止処分を下しました。

  刑事事件判決前の時点で医師2名を処分した点、また刑事処分を免れた医師1名を監督責任に基づき処分した点で、異例の内容となりました。また、過去最長(1年6月)を大きく上回る処分(3年6月:1名、2年:2名)となったことも社会の注目を集めましたが、処分そのものの軽重について多くの議論を招くとともに、医道審独自の調査権限や再教育制度の欠落がもたらす問題点があらためて浮き彫りになりました。

  今後も、否認中であることを理由として処分が見送られた青戸病院事件の医師1名に対する処分の行方や、行政処分制度改革の動向に注目していきたいと思います。