保健師助産師看護師法の遵守徹底に関する申入書

041118 保健師助産師看護師法の遵守徹底に関する申入書(厚生労働大臣宛).p
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厚生労働大臣 尾辻 秀久 殿

医療過誤問題研究会
医療事故情報センター
医療問題弁護団
神奈川医療問題弁護団
九州・山口医療問題研究会
埼玉医療問題弁護団
仙台医療問題研究会
兵庫医療問題研究会
(五十音順)

 我々は、国に対し、保健師助産師看護師法の遵守徹底を求めて、以下のとおり申し入れます。

第1 申入れの趣旨

 国は、看護師による産婦の内診という違法な業務慣行の実態を早急に調査の上、産科を標榜する医師及び医療機関並びに日本産婦人科医会をはじめとする産科関連諸団体に対し、看護師に産婦の内診を行わせるという違法な業務慣行を直ちに改めるよう強く指導せよ。

第2 申入れの理由

 保健師助産師看護師法が定めるとおり、看護師に許される業務は「傷病者若しくはじょく婦に対する療養上の世話又は診療の補助を行うこと」(同法31条、同法5条)である。産婦に対する内診は、保健師助産師看護師法3条の定める助産に該当し、医師または助産師以外のものが行うことは許されない。したがって、看護師に産婦の内診を行わせることは許されない。これは、平成14年11月14日付及び平成16年9月13日付け厚生労働省医政局看護課長通知でも明示されたとおりである。

 今般、日本産婦人科医会は「看護課長通知『産婦に対する看護師業務について』に対する要望書」(日産婦医会発第220号/平成16年10月8日)を厚生労働省医政局長宛に提出し、「産婦に対して、子宮口の開大、児頭の下降度等の確認及び分娩進行の状況把握を目的として内診を行うこと」は「診療の補助」には該当せず、助産に該当するとした平成16年9月13日付厚生労働省医政局看護課長通知の撤回を要求した。

 しかし、安全な分娩のためには、分娩経過の観察は不可欠であり、その重要な位置をしめる内診には、十分な産科専門知識と技術が必要であるが、その知識や技術を有していると認めうる医療従事者は、現行法上、医師と助産師しかない。同通知は、かかる保健師助産師看護師法の正しい解釈を再確認したものであって、この通知が撤回されることとなれば、助産を行う資格なき者による内診行為を国として許容することとなり、保健師助産師看護師法が国民の安全のために「助産師」という資格制度を設けた趣旨を没却することにつながりかねない。
 
 日本産婦人科医会による上記要望書は、「実質的助産師不足のため助産師を確保できない診療所もあり、その大部分は、分娩の経過観察を医師の指示下に熟練した看護師が行い、分娩の直接介助は医師または助産師が行っているのが現状です。」と述べ、違法であるはずの看護師による内診行為が産婦人科開業医を中心に幅広く行われていることを事実上自認している。
 同会の要望書は、そうした違法な慣行を国として追認するよう求めるものであり、かかる姿勢では、同会が目的とする「母子の生命健康を保護」(同会定款第4条)の実現は到底期待できず、誠に遺憾である。

 国は、看護師による産婦の内診という違法な慣行の実態を早急に調査の上、分娩に関わる母子の安全の確保のために、産科を標榜する医師及び医療機関並びに日本産婦人科医会をはじめとする産科関係諸団体に対し、違法な業務慣行を改めるよう強く指導されたい。

以 上

<申入団体一覧>

■医療過誤問題研究会(代表幹事 増田聖子弁護士)
 愛知県において、医療過誤訴訟の患者側代理人として活動する弁護士37名によって構成される団体
 (連絡先)
 〒461-0001 名古屋市東区泉1-1-35ハイエスト久屋6階
 電話 052-951-3226    FAX 052-951-3227

■医療事故情報センター(理事長 柴田義朗弁護士)
 医療過誤訴訟の患者側代理人として活動する全国の弁護士575名(2004年10月末現在)が正会員として加盟する団体
 (連絡先)
 〒461-0001 名古屋市東区泉1-1-35ハイエスト久屋6階
 電話 052-959-2556 FAX 052-959-2558
 http://www3.ocn.ne.jp/~mmic/

■医療問題弁護団(代表 鈴木利廣弁護士)
 東京を中心とする地域において、医療過誤訴訟の患者側代理人として活動する200名を超える弁護士によって構成される団体
 (連絡先)
 〒124-0025  東京都葛飾区西新小岩1丁目7番9号 西新小岩ハイツ506号
 福地・野田法律事務所内
 電話 03-5698-8544 FAX 03-5698-7512
 http://www.iryo-bengo.com/

■神奈川医療問題弁護団(代表 森田明弁護士)
 神奈川県において、医療過誤訴訟の患者側代理人として活動する弁護士166名によって構成される団体
 (連絡先)
 〒231-0021 横浜市中区日本大通14番地 横浜三井物産ビル2F
 斉藤法律事務所内
  電話 045-226-9961 FAX 045-226-9962

■九州・山口医療問題研究会(代表幹事 安部尚志弁護士)
 九州各県及び山口県において、医療過誤訴訟の患者側代理人として活動する弁護士230名及び協力医療関係者(医師・薬剤師)によって構成される団体
 (連絡先)
 福岡市博多区千代4丁目31番7号九県前ビル3階
 電話 092-641-2009 FAX 092-641-5707

■埼玉医療問題弁護団(代表 須賀貴弁護士)

 埼玉県において、医療過誤訴訟の患者側代理人として活動する弁護士41名によって構成される団体
 (連絡先)
 〒330-0064
 埼玉県さいたま市浦和区岸町7丁目12番4号 ニチモビル浦和4階
 大倉浩法律事務所内
 電話048-862-1853
 FAX 048-862-2054

■仙台医療問題研究会(代表 増田祥弁護士)
 宮城県において、医療過誤訴訟の患者側代理人として活動する弁護士13名によって構成される団体
 (連絡先)
 〒980-0822  宮城県仙台市青葉区立町11-17 シティハイム立町101
 坂野法律事務所内
 電話 022-211-5624 FAX 022-211-5625

■兵庫医療問題研究会 (代表 泉公一弁護士)
 兵庫県において、医療過誤訴訟の患者側代理人として活動する弁護士37名によって構成される団体
 (連絡先)
 〒650-0023
 兵庫県神戸市中央区栄町通6丁目1番17号 301号室
 みのり法律事務所内
 電話 078-366-0865  FAX 078-366-0841 

※本申入書に関する問い合わせ先
医療事故情報センター(担当 嘱託弁護士 堀 康司)
電話 052-951-1731