保健師助産師看護師法の遵守徹底に関する申入書

050517 保健師助産師看護師法の遵守徹底に関する申入書(日本産婦人科医会宛)
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社団法人日本産婦人科医会
会長 坂元 正一 殿

医療過誤問題研究会
医療事故情報センター
医療問題弁護団
大阪医療問題研究会
神奈川医療問題弁護団
九州・山口医療問題研究会
埼玉医療問題弁護団
しまね医療問題弁護団
仙台医療問題研究会
兵庫医療問題研究会
(五十音順)

 私たちは、貴会に対し、保健師助産師看護師法の遵守徹底を求めて、以下のとおり申し入れます。

第1 申入れの趣旨

 貴会は、会員に対し、看護師による産婦の内診実施が違法であることを確認した平成16年9月13日付厚生労働省医政局看護課長通知を周知徹底し、看護師に産婦の内診を行わせるという違法な業務慣行を直ちに改めるよう強く指導すること。

第2 申入れの理由

 保健師助産師看護師法(以下、「法」という)が定めるとおり、看護師に許される業務は「傷病者若しくはじょく婦に対する療養上の世話又は診療の補助を行うこと」(法31条、5条)である。産婦に対する内診は、法3条の定める「助産」に該当し、医師または助産師以外のものが行うことは許されない(法30条)。したがって、看護師に産婦の内診を行わせることは違法であり、このことは、平成14年11月14日付及び平成16年9月13日付厚生労働省医政局看護課長通知でも明示されている。

 今般、貴会は「看護課長通知『産婦に対する看護師業務について』に対する要望書」(日産婦医会発第220号/平成16年10月8日)を厚生労働省医政局長宛に提出し、「産婦に対して、子宮口の開大、児頭の下降度等の確認及び分娩進行の状況把握を目的として内診を行うこと」は「診療の補助」には該当せず、「助産」に該当するとした平成16年9月13日付厚生労働省医政局看護課長通知の撤回を要求した。

 そもそも、安全な分娩のためには分娩経過の観察が不可欠であり、その重要な位置を占める内診には、十分な産科専門知識と技術が必要であるが、その知識や技術を有していると認めうる医療従事者は、現行法上、医師と助産師しかない。上記通知は、かかる法の正しい解釈を再確認したものであって、当然のことながら、国もこの通知を撤回していない。

 貴会による上記要望書は、「実質的助産師不足のため助産師を確保できない診療所もあり、その大部分は、分娩の経過観察を医師の指示下に熟練した看護師が行い、分娩の直接介助は医師または助産師が行っているのが現状です。」と述べ、違法であるはずの看護師による内診行為が産婦人科診療所を中心に幅広く行われていることを事実上自認している。
 貴会の上記要望書は、助産を行う資格なき者による内診行為を許容するよう要求するものであるが、かかる要求は法が国民の安全のために「助産師」という資格制度を設けた趣旨を全く没却するものであって到底容認できない。
 貴会がかかる姿勢のままであっては、貴会の目的である「母子の生命健康を保護」(同会定款第4条)の実現は到底期待できず、誠に遺憾である。

 そこで私たちは、貴会が、会員に対し、看護師による産婦の内診実施が違法であることを確認した平成16年9月13日付厚生労働省医政局看護課長通知を周知徹底し、看護師に産婦の内診を行わせるという違法な業務慣行を直ちに改めるよう強く指導することを申し入れる。

以 上

<申入団体一覧>

■医療過誤問題研究会(代表幹事 増田聖子弁護士)
  愛知県において、医療過誤訴訟の患者側代理人として活動する弁護士39名によって構成される団体
(連絡先)
〒461-0001 名古屋市東区泉1-1-35ハイエスト久屋6階
電話 052-951-3226    FAX 052-951-3227

■医療事故情報センター(理事長 柴田義朗弁護士)
  医療過誤訴訟の患者側代理人として活動する全国の弁護士585名が正会員として加盟する団体
(連絡先)
〒461-0001 名古屋市東区泉1-1-35ハイエスト久屋6階
電話 052-951-1731 FAX 052-951-1732
http://www3.ocn.ne.jp/~mmic/

■医療問題弁護団(代表 鈴木利廣弁護士)
  東京を中心とする地域において、医療過誤訴訟の患者側代理人として活動する200名を超える弁護士によって構成される団体
(連絡先)
〒124-0025  東京都葛飾区西新小岩1丁目7番9号 西新小岩ハイツ506号
福地・野田法律事務所内
電話 03-5698-8544 FAX 03-5698-7512
http://www.iryo-bengo.com/

■大阪医療問題研究会(代表 東幸生弁護士)
  大阪を中心とする地域において、医療過誤訴訟の患者側代理人として活動する104名の弁護士によって構成される団体
(連絡先)
〒530-0047 大阪市北区西天満3-14-16 西天満パークビル3号館5階
電話 06-6362-1757 FAX 06-6362-1755

■神奈川医療問題弁護団(代表 森田明弁護士)
  神奈川県において、医療過誤訴訟の患者側代理人として活動する弁護士166名によって構成される団体
(連絡先)
〒231-0021 横浜市中区日本大通14番地 横浜三井物産ビル2F
    斉藤法律事務所内
  電話 045-226-9961 FAX 045-226-9962

■九州・山口医療問題研究会(代表幹事 安部尚志弁護士)
  九州各県及び山口県において、医療過誤訴訟の患者側代理人として活動する弁護士230名及び協力医療関係者(医師・薬剤師)によって構成される団体
(連絡先)
福岡市博多区千代4丁目31番7号九県前ビル3階
電話 092-641-2009 FAX 092-641-5707

■埼玉医療問題弁護団(代表 須賀貴弁護士)
  埼玉県において、医療過誤訴訟の患者側代理人として活動する弁護士45名によって構成される団体
(連絡先)
〒330-0064
埼玉県さいたま市浦和区岸町7丁目12番4号 ニチモビル浦和4階
大倉浩法律事務所内
電話048-862-1853 FAX 048-862-2054

■しまね医療問題弁護団(代表 妻波俊一郎)
  島根県において、医療過誤訴訟の患者側代理人として活動する弁護士6名によって構成される団体
    (連絡先)
〒690-0885 島根県松江市米子町10番14号 岡崎由美子法律事務所
電話 0852-26-5141 FAX 0852-26-5140

■仙台医療問題研究会(代表 増田祥弁護士)
  宮城県において、医療過誤訴訟の患者側代理人として活動する弁護士13名によって構成される団体
(連絡先)
〒980-0822  宮城県仙台市青葉区立町11-17 シティハイム立町101
坂野法律事務所内
電話 022-211-5624 FAX 022-211-5625

■兵庫医療問題研究会 (代表 泉公一弁護士)
  兵庫県において、医療過誤訴訟の患者側代理人として活動する弁護士37名によって構成される団体
(連絡先)
〒650-0023
兵庫県神戸市中央区栄町通6丁目1番17号 301号室
みのり法律事務所内
電話 078-366-0865 FAX 078-366-0841 

※本申入書に関する問い合わせ先
医療事故情報センター(担当 嘱託弁護士 堀 康司)
電話 052-951-1731