「患者の権利宣言」から25周年 

弁護士堀康司(常任理事)(2009年12月センターニュース261号情報センター日誌より)

名古屋で記念集会を開催

 本年10月31日、名古屋市内にて、「今こそ患者の権利医療・基本法を!」と題し、患者の権利宣言25周年を記念したシンポジウムが開催されました。

  シンポジウムでは、まず基調報告として、内田博文氏(ハンセン病問題に関する検証会議の提言に基づく再発防止検討会座長代理・ 九州大学大学院法学研究院教授)が「医事法におけるパラダイムの転換~国策に奉仕する医療から国民の命を守る医療へ」との演題で、医療の歴史を振り返りつつ、患者が主体であるとの視点からの基本法制定の必要性が解説されました。

  引き続いて行われたパネルディスカッションでは、隈本邦彦氏(江戸川大学メディアコミュニケーション学部教授)によるコーディネートの下で、伊藤たてお氏(日本難病・疾病団体協議会代表)、勝村久司氏(医療情報の公開・開示を求める市民の会世話人)、平野亙氏(NPO法人患者の権利オンブズマン副理事長)、藤末衛氏(全日本民医連副会長・神戸健康共和会理事長)、山口美智子氏(薬害肝炎全国原告団代表)の各氏から、この25年で何が変わり、何が変わらなかったのかについて、それぞれの経験と実践に基づく実感のこもった発言がありました。

医療基本法制定を求めるアピールを採択

  この集会を終えるにあたり、集会参加者一同によって、「医療基本法制定を求めるアピール」が採択されました。

  このアピールでは、日本における患者の権利運動の嚆矢である、1984年10月の患者の権利宣言全国起草委員会による「患者の権利宣言案」発表から25年間が経過する中で、インフォームド・コンセントの普及、カルテ開示の制度化、医療安全に対する取組の強化等の成果が得られたことを確認しました。

  その上で、経済的理由で医療機関を受診できない患者の増加や、医師不足・医師偏在等によって、患者の権利の根本である「医療を受ける権利」の空洞化が危惧される現況を乗り越えるためには、「安全かつ質の高い医療を受ける権利」及び「患者の自己決定権」を柱とする患者の権利を国民に保障し、その権利の実現のために、国及び地方公共団体の責務を明らかにする法律を、日本の医療制度全ての基本法として制定すべきであり、参加者一同その実現に向けて努力することを宣言しました。

笑顔の「解散宣言」の早期実現を

  集会には、李啓充氏(医師・作家・元ハーバード大学医学部教授)より、

 「患者の権利宣言」から25年もの年月が経ったとのこと、慚愧に堪えません。

 「患者の権利法をつくる会」が所期の目的を達成し、解散を宣言する日が、一日も早くやって来ることを祈念してやみません。

とのメッセージが寄せられました。

 本年4月には、「ハンセン病問題に関する検証会議の提言に基づく再発防止検討会」が「患者の権利擁護を中心とする医療の基本法」の制定を厚労大臣に提言しました。本年6月には、安全社会実現会議が、「患者の自己決定権と最善の医療を受ける権利を明確に規定する基本法の制定を2年を目途に推進する」との最終報告書を提出しました。

  こうした動きによって、患者の権利法制定の機運は高まりつつあります。

  李氏からのメッセージのとおり、「権利法をつくる会」が笑顔で解散を宣言できる日を、私たちの手で、一日も早く実現しましょう。