医療事故調査制度の現況報告

弁護士松山健(嘱託) (2016年4月センターニュース337号情報センター日誌より)

「医療事故調査制度の現況報告」

 日本医療安全調査機構(医療事故調査・支援センター)は、平成27年11月から毎月、相
談件数、医療事故の報告件数等を「医療事故調査制度の現況報告」として公表しています。
 昨年11月に第1回目の公表された際に、本稿でご紹介しましたが、今回は、その後の経過をご紹介します。最新の報告は、平成28年3月8日付で公表された平成28年2月末時点の医療事故調査制度の状況についてのとりまとめです。

低調な状態での推移

(1)相談件数
 まず、2月の相談件数は、142件でした。
 前回までの実績は10月250件、11月160件、12月187件、1月132件で、2月までの累計は871件となります。


 相談内容による集計(2月までの累計)

・相談件数           871

 

・内容による集計(複数計上)

 医療事故    判断 227

           手続 253

 院内調査        229

 センター調査       43

 再発防止           1

 その他          230

 計             983

 

 これまでの累計では、「医療事故報告の判断」に関する相談が227件(23%)、「手続」に関する相談が253件(25%)、「院内調査」に関
する相談が229件(23%)、「センター調査」に関する相談が43件(4%)、「再発防止」に関する相談が1件、その他が230件(23%)でした。


(2)医療事故報告受付件数
 つぎに、2月の医療事故報告受付件数は、25件でした。
 前回までの実績は、平成27年10月が19件、同年11月が27件、同年12月が36件、平成28年1月が33件で、2月までの累計は140件となります。
 これまでの累計の病院・診療所別内訳は、病院からの報告が126件、診療所からの報告が14件でした。

 

  診療科別の主な内訳(2月までの累計)

 内科        24
 外科        19

 整形外科     13
 産婦人科     12
 精神科       10
 心臓血管外科   9
 泌尿器科      8
 循環器内科     7
 脳神経外科     7

 消化器科           7
 その他       24

 

 
(3)医療事故調査報告(院内調査結果)件数
 2月は医療事故調査報告(院内調査)が18件で、平成27年11月の1件、同年12月の6件、平成28年1月の8件と累計で33件となります。

 

(4)センター調査の依頼件数
 2月はセンター調査の依頼はありませんでした。センター調査の実績は、平成28年1月の1件のみ(累計1件)です。

まとめ

 相談件数は減少傾向にあり、報告受付件数も月平均28件と、依然として低調なまま推移していることがわかります。医療現場への周知がいまだ不足していることも大きな要因と思われますが、報告を要する「医療事故」に該当するかを病院等の管理者の判断に委ねる報告の仕組みについての制度設計自体の問題も窺え、間口の問題は制度見直し(改正医療法附則2条2項)の重要課題といえるでしょう。