大学病院のカルテ開示費用~私立と国公立との間の格差

堀康司(常任理事) (2019年9月センターニュース378号情報センター日誌より)

文科省が大学病院におけるカルテ開示の状況を調査

 1999年8月、厚生労働省前庭に薬害エイズ被害の反省を踏まえた薬害根絶誓いの碑が建立されました。この年から、全国薬害被害者団体連絡協議会(薬被連)は毎年8月の薬害根絶デーにおいて、文科省と厚労省と定期協議を実施しています。
 今年8月23日に実施された第20回目となる文科省との協議では、国内の大学病院におけるカルテ開示費用を巡る状況の集計結果が説明されました。調査対象は42国立大学病院・8公立大学病院・31私立大学病院(医系本院)の合計81大学病院です。

 

開示手数料は国公立では無料、一部私大は高額に

 今回の集計結果をみると、すべての国公立大学では開示手数料が無料とされていることがわかります。しかし私立大学では、5,000円台の開示手数料を徴収する病院が平成30年度は14大学、令和元年度でも12大学(獨協、慶応、昭和、帝京、東京医科、東京女子医、東邦、日本、日本医科、藤田医科、大阪医科、関西医科)にのぼり、国公立と私立の間で大きな格差があることが確認されました。

 

コピー代金も私大を中心に大きな格差

 コピー代金については、白黒印刷1枚あたりの価格は18大学で10円台、43大学で20円台とほぼ実費相当額とする大学が大勢を占めています。しかし40円台とする大学が2大学(富山=国立、昭和)、50円台が8大学(筑波=国立、獨協、慶応、東京医科、慈恵、東京女子医、東邦、聖マリ)となっており、やはり私立を中心とした大きな違いが出ています。

 

厚労省通知の趣旨に沿った改善を

 カルテ開示費用については、「診療情報の提供等に関する指針の策定について」(平成15年9月12日付医政発第0912001号)において、「実費」を勘案して合理的と認められる範囲内の額としなければならないとされています。昨年7月20日にも厚労省医事課長が都道府県に宛てた通知を発しており、その中では「診療記録の開示に要する費用は、実際の費用から積算される必要があるが、個々の申し立てに応じその費用が変わり得るところ、開示に要する費用を一律に定めることは不適切となる場合があること」とされています(平成30年7月20日付医政医発0720第2号)。
 昨年から今年までの間に2つの私立大学がカルテ開示費用を減額しています(埼玉医:手数料5,400円→1,080円、杏林:手数料5,400円→3,780円、コピー代金54円→11円)が、上記のように一部の私立大学では、依然として高額の手数料・コピー代を徴収する姿勢を改めようとしていません。
 カルテ開示は患者との情報共有の重要な手段であり、医療の透明性の試金石です。高額の費用でカルテ開示を事実上制約することがないよう、速やかな改善が求められます。