医療事故情報収集等事業 分析テーマ「研修医に関連した事例」について

松山健(常任理事) (2021年11月センターニュース404号情報センター日誌より)

研修医に関連した事故等の分析

 日本医療機能評価機構は、広報誌「ニューズレター」2021年9月号で「研修医に関連した事例」をテーマに特集を組んでいます。

 これは、医療事故情報収集等事業の四半期ごとに公表されている第64回報告書と第65回報告書で、2020年7月~12月に収集したヒヤリ・ハット事例と2018年~2020年に報告された医療事故情報をもとにした分析が2回にわたって行われたものの一部を整理して紹介したものです。

研修医に関連した事故等の3大発生要因

 第64回・65回報告書では、研修医に関連した事故等の発生要因が分析されています。

 研修医の事故等の発生要因を職種経験が2年以上の医師の事例の発生要因と比較すると、医療事故情報では「連携ができていなかった」、「知識が不足していた」、「教育・訓練」の割合が高く、3つの発生要因のいずれかが選択された事例は、医療事故情報は127件中100件(約78%)、ヒヤリ・ハッ ト事例は71件中44件(約61%)で、そのうち、3つの発生要因が全て選択された事例は、医療事故情報では19.0%でしたが、ヒヤリ・ハット事例では0%でした。報告書では「発生要因が重なると医療事故に至る可能性が示唆された」と評価しています。

「確認を怠った」が職務経験年数を問わず最大の発生要因

 なお、職務経験年数0ヶ月~1年11ヶ月、2年0ヶ月~3年11ヶ月、4年0ヶ月~9年11ヶ月、10年以上と、職務経験年数の各区分を通じて最も発生件数が多く、かつ、職務経験年数を問わず、約15%と発生原因に占める割合が高かったのは、「確認を怠った」でした(第65回報告書26頁)。

※医療事故情報収集等事業第65回報告書28頁より引用

 

まとめ

 報告書では、様々な事例が掲載され、事故等の発生場所や関連診療科、背景要因、発生要因、専門分析班での議論、改善策などをまとめて、分析・整理されており、研修医の関連する事故等を予防・評価するために有益な視点を提供する内容となっております。

 ニューズレター、各報告書は日本医療機能評価機構の医療事故情報収集等事業のウェブサイトで入手できますので、参考にしていただければと思います。