医療事故調査制度に関する動き ~国民に根ざした制度への期待

柄沢好宣(嘱託)(2023年2月センターニュース419号情報センター日誌より)

ポスター・リーフレットの大幅改訂

 医療事故調査制度に関するポスターやリーフレットが、昨年、大幅に改訂されたことが報じられました(朝日新聞デジタル・2023年1月18日)。

 特に、リーフレットについては、医療事故調査制度について、「ご家族、大切な方のためにぜひ知っておいてください」との見出し(下図参照・ポスターも同様)や、「あなたの大切な人が急に亡くなった時、どうして亡くなったのか詳しく知りたい時にはためらわず医療機関の窓口へご相談ください」と呼びかける文言も加えられているほか、一般の方の疑問に答える形でのQ&Aも掲載されており、遺族をはじめとする国民全般をより意識した内容・デザインとなっているように感じられます(実際のポスター・リーフレットは、日本医療安全調査機構のホームページでご確認いただけます:https://www.medsafe.or.jp/modules/document/index.php?content_id=1#anc01)。

医療事故調査制度の報告体制に関するアンケート

 また、日本医療安全調査機構のホームページでは、現在、厚生労働科学研究費補助金等「医療機関内の医療事故の機能的な報告体制の構築のための研究(研究代表者 木村壯介)」において、「医療事故調査制度の報告体制に関するアンケート」が行われていることが公表されています(https://www.medsafe.or.jp/modules/news/index.php?content_id=281)。

 事故報告の実績の有無に関わらずランダムに抽出された医療機関を対象とするものとのことですが、事故報告の伸び悩みや二極化が指摘されている状況で、今回のアンケートや研究成果は非常に注目されます。

広く国民に根ざした制度とするために

 医療事故調査制度は、運用開始から既に丸7年が経過しており、一定の成果はあげつつあるものの、なお様々な課題を抱えている状況でもあります。特に、今般のリーフレット等の改訂の方針を踏まえますと、医療事故調査制度が広く国民にも根ざした制度、国民から信頼される制度としていくことも重要な課題のひとつであるように思われます。

 今回、こうした2つの動きをご紹介しましたが、医療事故情報センターにおいても、今年5月の総会シンポジウムでは、改めて医療事故調査制度をテーマとすることも視野に入れて企画検討中です。正式に決定しましたら、ホームページでもご案内致しますので、是非ご期待いただければと思います。