嘱託の引き継ぎにあたって ~8年間ありがとうございました

柄沢好宣(嘱託)(2025年6月センターニュース447号情報センター日誌より)

 

 2017年6月より、医療事故情報センター・嘱託弁護士としてのお役目をお任せいただいて参りましたが、この度、後進にバトンタッチすることになりました。

 私が嘱託になったのは、弁護士になって3年目というタイミングでもあり、はじめは要領を得ないことも多く、各方面でご迷惑をおかけしたものと思います。それでもなんとか、8年間にわたって嘱託業務を続けることができましたのは、正会員の皆さまや全国の医療過誤問題弁護団・研究会の先生方、センターの活動にご協力をいただいてきた大勢の皆さまのおかげです。心より御礼申し上げます。

 

 この8年間を振り返ってみますと、なんといってもコロナ禍での活動が思い出されます。

 それまでの企画・活動をそれまでどおりに行うことができず、センターとしても様々な対応や変化を求められました。2020年12月に予定されていた医療事故情報センター30周年記念行事も、開催を1年繰り下げた上で、Zoomを利用してのオンライン開催となりました。

 これも慣れないことばかりでしたので、当初は非常に戸惑いを感じながらZoomの接続をしていました。今でこそ設定や操作にも慣れてきましたが、あの当時は、途中でトラブルが起きないか、画面は共有できているか、音声はきちんと届いているのかと、大いなる不安を感じながら様々な企画を進めていました。

 

 もっとも、決して悪いことばかりでもありませんでした。何と言っても、遠隔地の方々との交流が容易に行えるようになったことが、非常にありがたい変化でした。

 行動制限、3密回避、ソーシャルディスタンスなどという言葉が飛び交うようになり、人との関わりは疎になっていくばかりかと思っていましたが、オンラインでの交流が可能になったことで、普段、交通手段やお仕事などの関係で会場にお越しいただけないような方々にも、シンポジウムにご参加いただけるようになりました。また、センターニュース冒頭の『ドクターインタビュー』のコーナーでも、地域を問わず全国各地のドクターの皆さまにお話を伺うことができました。普段の事件処理の中で医師の方のお話を伺う機会もありますが、それ以外の形で、それぞれのお立場から様々なお話を伺うことができたことは、私自身にとっても非常に有意義で貴重な経験であったと感じています。

 

 こうした活動を続ける上で、忘れてはならないのが事務局の存在です。嘱託は事務局の差配が主な役目ではありますが、むしろ私がスタッフにフォローしてもらう場面がどれほどあったかわかりません。途中、事務局体制も縮小し、多くの負担をかけてしまったこともありましたが、8年間支えていただいたことを本当に感謝しています。

 

 さて、私の後任は、城田健次弁護士が引き継ぐこととなります。既にセンターの業務を少しずつ手伝ってもらってきましたし、いくつかの事件を一緒に担当してもいますが、非常に頼もしい人材であると感じています。

 初めのうちは慣れないことも多いと思いますが、どうか温かい目で見守ってくださいますよう、私からもお願い申し上げます。

 

 嘱託業務は引き継ぎますが、センターの活動には引き続き関わって参りますし、このコーナーの執筆も継続して担当することにもなっております。今後とも変わらぬご指導の程、よろしくお願い申し上げます。