第4回医療事故調査制度等の医療安全に係る検討会を振り返って

城田 健次(嘱託)(2025年11月センターニュース452号情報センター日誌より)

はじめに

 2025年10月15日、「医療事故調査制度等の医療安全にかかる検討会」の第4回が開催されました。これまでのヒアリングを踏まえ、主に5つのテーマに沿って議論が行われました。本稿では、そのなかでも特に議論が活発になされたポイントについて、その概要を報告します。

本検討会での議論の概要

(1) 医療事故判断の質の向上

 医療事故の判断プロセスに関して、医療機関に対し、判断の理由等を記録し保存することを義務化する方向性が検討されました。この点に関し、記録化の意義を没却しないためにも、監査委員会などでの事後検証の仕組みを確保する必要があるなどといった意見がありました。

 また、医療機関へ医療事故調査制度に関する研修受講を求めていく方向性についても議論がなされました。そこでは、現状での方向性では管理者の受講が「望ましい」とされているが、判断権者たる管理者の受講は義務付けるべきであるとの意見があった一方 、まずは管理者にとって受講しやすい環境を整備していくべきとの意見もありました。

(2) 院内調査の質向上

 これまで院内事故調査の手法は各医療機関に任されており、医療事故調査・支援センターが調査を行う際に使用しているマニュアルは公開されていませんでした。そこで、このような現状を踏まえ、将来的に同マニュアルを提示していくことを目指すという方向性について議論が交わされました。この点に関しては、好意的な意見が続くなかで、「将来的」ではなく速やかに公開されるべきであるとの意見もありました。

(3) 再発防止による医療安全向上の促進

 医療事故の再発防止という観点からは、センター調査報告書の公表がこれに資するといった議論はこれまでの検討会でも意見として出ていたところです。残念ながら、今回の検討会では、センター調査報告書の公表に向けた方向性は示されませんでしたが、重要な論点の一つとして深い議論が交わされていました。公表に賛成する立場からは、院内調査の質の向上や再発防止のために必要であるとの意見が示されたのに対し、これと異なる立場からは、個々の医療機関により規模や背景事情が異なるため公表されたとしても参考にはならないなどという意見が出され、賛否が分かれました。 

(4) 今後の取組み

 このほかにも議論が活発になされ、事務局から方向性として示されたポイント以外の部分にまでも議論が及ぶに至りました。予定終了時刻まで議論が尽きることなく、そのなかで今後に持ち越される課題も見出されたことから、本検討会後の進め方として、具体的な課題を継続的に議論するためのワーキンググループの設置を求める意見も出され、引き続き検討を行う必要性が示されました。

おわりに

 今回の検討会では、判断理由の記録保存義務化や研修受講体制の充実・強化など、複数の項目で概ねの方向性について合意が見られました。一方で、センター調査報告書の公表などについては賛否が分かれ、制度が抱える根本的な課題も含め、引き続き議論が必要な論点が残されていることが確認されています。今回の議論をもとに本検討会の取りまとめに向けた整理が進められますが、取り残された課題の検討のためにも、継続的に議論する場が設けられることを切に望みます。