城田健次(嘱託)(2026年1月センターニュース454号情報センター日誌より)
はじめに
2025年10月29日、AP赤坂グリーンクロスにて「第5回医療事故調査制度等の医療安全に係る検討会」が開催されました。本年6月に発足した本検討会も今回が最終回となり、これまでの議論を踏まえて事務局より提示された「報告書(案)」の取りまとめが行われました。
私もこれまで何度か本検討会に関する議論の内容を日誌に寄せて参りましたが、今回で最後となった検討会において、医療事故調査制度の開始から10年という節目の年に、今後の医療安全施策がどのように描かれたのか、その概要と当日の議論の模様をご報告いたします。
報告書(案)の主なポイント
今回提示された報告書(案)は、大きく「医療機関における医療安全管理体制」と「医療事故調査制度」の2つの柱で構成されています。
(1)医療機関における医療安全管理体制
注目すべき点は、院内の医療安全管理委員会等へ報告すべき重大事象について、患者への影響度や回避可能性の観点から定義(いわゆるA類型・B類型等)し、確実な把握を促す方針が盛り込まれたことです。このように一定の基準を提示すること自体は有益である反面、特定機能病院以外の医療機関はB類型については報告が努力義務とされている点に課題があります。この点については当センターも意見を述べていますので、そちらをご参照ください。
(2)医療事故調査制度
制度の核心である「医療事故の判断」に関しては、全死亡事例のスクリーニングや検討会議の開催など、組織的な判断プロセスを各医療機関で整備し、医療安全管理指針に明記することが求められました。特に、遺族等から「医療事故ではないか」と申し出があった場合等の対応を含め、判断結果やその理由を記録・保存すべきとする点は、判断の透明性と事後検証性を高めるうえで重要です。
また、医療事故調査・支援センター(センター)の調査については、調査マニュアルの公表や、参考例としての架空事例報告書の提示を目指すことが明記されました。
おわりに
当日の議論では、報告書(案)はおおむね了承されましたが、委員からは将来を見据えた活発な意見が出されました。特に、現在は死亡事例に限られている制度の対象を、重度障害事例にも広げて議論すべきではないかといった意見があったのが印象的です。なお、これまでの検討会で議論があったセンター調査報告書の公表(全面開示)は、賛否両論があった経緯を踏まえ、さらなる検討が必要と明記されています。
本検討会だけでは議論し尽くせなかった課題や、今回の見直し後のフォローアップを行うため、新たに「ワーキンググループ」が設置されるべきことも明記されました。医療の高度化や高齢化に伴い、医療安全を取り巻く環境は変化し続けています。制度の運用改善にとどまらず、「安全文化」を真に医療現場へ定着させるために、引き続きこのワーキンググループでの議論の行方を注視していく必要があります。
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報告書(案)はこちらのURLより閲覧することができます。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_65345.html
当センターの意見書はこちらのURLより閲覧することができます。
https://www.mmic-japan.net/%E7%A7%81%E3%81%9F%E3%81%A1%E3%81%AE%E6%84%8F%E8%A6%8B/