医療事故情報センター総会記念シンポジウムが開催されました

城田健次(嘱託)(2026年7月センターニュース460号情報センター日誌より)

はじめに

 2026年5月30日、ウインクあいちにて医療事故情報センター総会記念シンポジウム

「医療事故調査制度の今後の展望 -医療事故調査制度等の医療安全に係る検討会を踏まえて-」が開催されました。

今回のシンポジウムのテーマ

 医療法上の医療事故については医療事故調査・支援センターへ報告しなければならないとされておりますが、運用開始以来、報告件数が想定以上に伸びず、地域間・病院間でバラつきがあり、報告されるべき事故が報告されていないという問題に直面しています(このあたりは昨年のシンポでも報告した点です。)。この点については、昨年の厚労省の医療事故調査制度等の医療安全に係る検討会でも問題意識として投げかけられたところであり、記録の作成・保存の枠組みを盛り込むなどの改善策が報告されたところです。こうした改善策は肯定的に評価できるところですが、これが形式的に運用されるだけでは本末転倒であり、実質的かつ客観的に事後的検証が可能な形で記録が作成・確保されなければならないのはいうまでもなく、かかる記録の作成・保存にとどまらず、今後も、さらなる改善策を講じる必要はあるものかと思われます。

 このように、まだまだ発展途上の医療事故調査制度において、医療法上、報告が義務付けられている医療事故が、遺漏なく医療事故調査・支援センターに報告されるためには、さらなる仕組み改善が必要と思われるところです。

 そこで、今回のシンポジウムを、上記のテーマで開催する運びとなりました。

シンポジウムを終えて

 個人的に今回のシンポジウムのテーマを一言でまとめるとすれば、それは「患者参画」に尽きると言っていいほどに、患者が医療安全領域へ参画することの重要性や意義をより強く意識づけられたシンポジウムでした。実際、患者遺族からも医療事故として医療事故調査・支援センターに報告することができる仕組みにした方がよいのではという医療従事者側からの声があるとの報告や、既に患者側からインシデント報告をすることができる仕組み作りを特定機能病院で検討しているとの報告がパネリストからありました。

 専門性が高く後見的な役割も重視されてきた医療という領域ではありますが、昨今の情報化社会の流れや、AIなどの利用により、患者側も容易に一定程度の知識へアクセスすることができるようになり、時代が大きく変動しつつある昨今、医療安全という領域に患者が参画することを改めて議論し、さらに一歩進んだ改革を進めるときが来ているのではないかと思われるところです。

 こうした重要な視点を提供することができた本シンポジウムは大変有意義なものであったと思います。ご登壇いただいたパネリストの皆様はじめ、シンポジウムにご出席いただいた皆様に改めて御礼を申し上げます。